今そこにあるIPv6 ─ もう1つのインターネットが普通に使われていることに普通のITエンジニアはどう対応するべきか?
長らく「オオカミ少年」と呼ばれながら近年は対応サービスの増加もあって普通に利用されているIPv6。2021年12月に『プロフェッショナルIPv6』を改訂する小川晃通(@geekpage)さんに、普通のITエンジニアがこれから考えるべきことを聞きました。
インターネットの基盤技術では、IP(インターネットプロトコル)v4と呼ばれる仕組み(RFC 791)が1980年ごろから利用されています。IPv4ネットワーク上の機器は32ビット(約43億)のIPアドレスで識別されますが、人類が自由にインターネットを活用するには狭過ぎ、やがて枯渇することが1990年代前半には指摘されていました。
この問題に対して、アドレス長を4倍の128ビット(約43億×43億×43億×43億=約3.4×1038)としたIPv6が策定され、2000年代には各OSへの実装も進められました。しかし、プライベートIPアドレスを利用したNAT(ネットワークアドレス変換)技術が広く活用されたことなどから、IPv4は長く延命され、必要性をアピールされながら普及が進まないIPv6はイソップ童話の「オオカミ少年」にたとえられてきました。
一方で、2010年代に入ってIPv4グローバルアドレスの在庫が実際に枯渇しはじめると、プロバイダがIPv6アドレスもあわせて割り振ったり、Googleなどの事業者がIPv6でサービスを提供したりと、変化も起きています。利用者の端末にはIPv6スタックがOS標準の機能として搭載済みですから、ネットワークとサービス側が対応するだけで、一般のユーザーも知ってか知らずかIPv6を利用している時代になってきました。
AkamaiやGoogleが公開しているIPv6の普及状況によると既に日本でも40%を超え、NTTドコモでは2022年春から端末にIPv6アドレスのみを割り当てると発表するなど、この数年でIPv6の普及が急に進んでいます。
本記事では、2018年に書籍『プロフェッショナルIPv6』を執筆(2021年12月に改訂)し、最近では解説動画も精力的に公開されている小川晃通(以下、あきみち、@geekpage)さんに、IPv6そのものの開発や運用を行うわけではない一般のITエンジニアにとってIPv6の普及はどういった意味があるのか? また、Webの開発や運用においてどういったことに気を付ければよいのか? といった観点から話を伺いました。
- いつの間にか誰もがIPv6を利用している?
- IPv6にすると高速になるか? 安全になるのか?
- もう「IPv6が来る」と叫んでも「オオカミ少年」ではなくなった?
- サーバ側のIPv6対応は急ぐべきか? IPv4の劣化とは何か?
- IPv6/IPv4デュアルスタックか、IPv6シングルスタックか?
- 企業の構内ネットワークもIPv6対応すべきか?
- エンジニアのIPv6対応は、まず勉強から
いつの間にか誰もがIPv6を利用している?
── IPv6が必要と言われて久しいですが、私たちも積極的に移行を進めるべきなのでしょうか?
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