IntelliJ IDEAをもっと便利で使いやすく! つまずきがちな設定や、便利な機能を細かに解説します。

Javaの統合開発環境であるIntelliJ IDEAの人気が高まっています。興味はある方や使い始めたばかりの方に向けて、つまずきがちなポイントや、地味だけど便利な機能などを、IntelliJ IDEA関連の著作も多い今井勝信さんが紹介します。

IntelliJ IDEAをもっと便利で使いやすく! つまずきがちな設定や、便利な機能を細かに解説します。

IntelliJ IDEA(インテリジェイ・アイデア)は、JetBrainsが開発・販売しているJavaの統合開発環境(IDE)です。最初に登場したのは2001年と古く、しばらくマイナーIDEとしてひっそり存在していましたが、ここ数年で知名度も上がってきました。

近年の人気も相まって、IntelliJ IDEAの紹介記事や“最初のとっかかり”的な入門記事は数多く見かけるようになりました。機能紹介や初心者向けのHow Toはそちらにゆずり、本記事では細かすぎて、もしくは面倒くさすぎて、入門記事ではあまり触れられない部分を取り上げます。

ちょっとややこしい製品体系やライセンスの話、そして継続的に情報収集するために役立つ情報源をはじめに紹介します。その後で、IntelliJ IDEAを使い始めたときにつまずきがちなポイントや、地味だけど便利な機能を紹介します。

本記事のターゲットは、IntelliJ IDEAに興味はあるけれどまだ使っていない人や、使い始めてみたけど今ひとつ良さが分かない方です。すでにIntelliJ IDEAを活用している人には耳タコな内容かもしれませんが、もしかしたら新たな気づきがあるかもしれません。

記事を読み進めていただく前の注意点

本稿は、Windows版のIntelliJ IDEA 2019.2.3 Community Editionを使って試した結果を基に執筆しています。文中によく「設定画面の~」や「~を設定」と設定に関する説明が登場しますが、この設定画面(Settingsダイアログ)の名称は、Mac版ではPreferencesです。

開き方も異なっており、WindowsではFileメニュー→Settings、Mac版はアプリケーションメニュー→Preferencesです。Welcome画面ではメニューバーが表示されていないので、画面右下のConfigureからSettings(Mac版はPreferencesを選んでください。

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IntelliJ IDEAは有償のIDE

前述したとおり、IntelliJ IDEAはJavaの統合開発環境です。昔はよくEclipseNetBeansと比較されましたが、最近ではVisual Studio Codeと比べられることが多いようです。

こういったIDEやテキストエディタとの最大の違いは、有償であることです。有償であることはデメリットに捉えられがちですが、以下のように有償ならではのメリットもあります。

  • アップデートが頻繁にある
    • バグ対応が早い
    • OSやSDKなど周辺環境の対応も早い
  • 標準構成で十分使える
    • 追加のプラグインをほぼ必要としない
    • 追加するとしても公式プラグインで網羅できる

開発ツールは無償なのが当たり前という風潮のなか、名だたる無償ツールたちと競い続けて20年近くも生き残っているのも、有償であることのメリットを証明しているのかもしれません。

IntelliJ IDEAには、一説に「850%の費用対効果(ROI)がある」そうですが、筆者が10数年使い続けた経験と照らし合わせても、あながち間違っていないと思っています。

IntelliJプラットフォームのIDEたち

IntelliJ IDEAはJavaを主力に据えたIDEですが、開発元のJetBrainsではJava以外の言語向けのIDEも提供しています。これらのIDE群は、もともとIntelliJ IDEAが持っていた機能を切り出したり、IntelliJ IDEAをベース(IntelliJ プラットフォームと呼ぶ)に開発されたりしているため、どのIDEが何の言語をサポートしているのか少々分かりづらいです。

次の表は、IntelliJプラットフォームIDEの製品と、それぞれが標準でサポートしている言語の一覧です。IntelliJ IDEAに右端のプラグインを追加することで、GoLand、PhpStorm、PyCharm、RubyMineと同等の言語をサポートできます(WebStormとDataGrip相当の機能は標準で組み込まれています)

製品 サポートする言語 対応プラグイン
IntelliJ IDEA Java、JavaScript、Groovy、Kotlin、SQL
AppCode Objective-C、Swift、JavaScript、SQL なし
CLion CC++、JavaScript、SQL なし
DataGrip SQL (標準)
GoLand Go、JavaScript、SQL Goプラグイン
PhpStorm PHP、JavaScript、SQL PHPプラグイン
PyCharm Python、JavaScript、SQL Pythonプラグイン
Rider C#、JavaScript、SQL なし
RubyMine Ruby、JavaScript、SQL Rubyプラグイン
WebStorm JavaScript(SQLサポートなし) (標準)

ぱっと見はIntelliJ IDEAが最もお得な感じですが、AppCode(Swift)、CLion(C/C++)、Rider(C#)相当の言語サポートはできません。より詳しい情報は、JetBrainsの製品ページで調べることができます。

2JetBrainsが提供するすべての開発者ツールと製品

Googleが提供しているAndroid Studioも、IntelliJプラットフォームのIDEです。Android StudioはGoogleが管理しているため、バージョン表記やリリースサイクルが、このセクションで紹介するものとは異なります。

有償と無償

JetBrainsが提供しているIDEはだいたい有償ですが、IntelliJ IDEAとPyCharmには無償版(Community Edition)があります。無償版と区別するため、有償版をそれぞれIntelliJ IDEA Ultimate Edition、PyCharm Professional Editionと呼びます。

有償版と無償版の違いをざっくり説明すると「サーバサイドの開発支援機能がない」ことです。IntelliJ IDEAでは、Tomcatなどのアプリケーションサーバや、Spring Frameworkなどの主だったフレームワークの開発支援がありません。JavaScriptサポートもなく、できることがかなり限られています。

Kotlinだけやりたい」「Scalaがやりたい」など、目的がハッキリしているなら無償版でもかまいませんが、そうでなければ有償版を使った方がよいでしょう。

バージョン表記とリリースサイクル

バージョン表記はYYYY.R(.m)形式で「2019.1」とか「2019.2.1」のように表します。最初のYYYYは見てのとおり「年」で、それ以外の意味は以下のとおりです。

表記 説明
R その年のメジャーリリース回数
m マイナーリリース回数

このような表記にした理由は、Rider、WebStromなどのIDEがどのバージョンのIntelliJ IDEAをベースにしているか分かりやすくするためです。例えば、Rider 2019.2とIntelliJ IDEA 2019.2は、同じIntelliJプラットフォームだということが分かります。

メジャーリリースは3~4カ月の頻度で行われます。「2019.1」から「2019.2」はマイナーアップデートに見えますが、別のメジャーバージョンです。メジャーバージョンが異なると、内部的には別のアプリケーションとして扱います。

マイナーリリースはバグ対応が主で、リリース頻度は不定期です。早いときは1週間くらいでリリースされます。

これ以外にも、最新バージョンには早期アクセスプログラム(Early Access Program、EAP)という開発バージョンがあります。EAPは次のメジャーリリースに向けた新機能の試作などを含む、不安定なバージョンです。最新版だと思ってほいほい付いていくとヒドい目に遭うので気をつけてください。

ライセンスの種類

有償版のライセンスは、年更新・月更新のサブスクリプション方式です。12カ月連続で使用すると、サブスクリプション期限が切れてもライセンス購入時の最新バージョンの使用権が残るので、買い切り方式の特徴も持っていますフォールバックライセンス

ライセンスには企業向けのコマーシャルライセンスと個人向けのパーソナルライセンスの2種類があります。パーソナルライセンスは、会社の経費で買ってもらえない開発者の救済を目的にしているので、コマーシャルライセンスと比べるとかなりお安くなっています。

お安いといっても1万円以上するので、ためらうには十分な値段です。30日の試用期間もあるので、自分にとって値段分の価値があるかどうかを判断してから購入を決意した方がよいでしょう。ライセンスは、JetBrainsや日本代理店のサムライズムから購入できます。

「有償、有償」と繰り返されてウンザリしている人もいるかもしれませんが、無償で使えるライセンスもいくつかあります。ひとつは学生や先生向けの教育ライセンス、もうひとつはオープンソースプロジェクトの開発者向けのオープンソースライセンスです。申請条件・更新頻度・適用範囲など、いくつか制限がありますが、条件に該当する人は申し込んでみるのもよいでしょう。

ライセンスは、IDEごとに購入します。前述したとおり、IntelliJプラットフォームのIDEは数多くあるので、どれを購入すればいいのかが悩みのタネになります。使う言語が多岐にわたり、どれかひとつに絞り切れない方は、JetBrainsのIDEが全て使えるAll Products Packを検討してみてください。

頼りになる情報源 ── 日本語でも読める公式サイトなど

JetBrainsが提供している情報が一次情報源です。ここまでで紹介したJetBrainsのリンク先に訪れた人はお気づきかと思いますが、JetBrainsの公式サイトは日本語で読めます1。「海外製品なので英語は苦手」と臆しているなら、それは杞憂です。

主だった機能は、製品紹介ページの「新機能」や「機能一覧」で確認できます。これはスクリーンショットや動画も豊富なので、見ているだけでも楽しめます。

3IntelliJ IDEA:JetBrainsによるプロ開発者向けJava IDE

JetBrainsのサイトはほぼ日本語対応されていますが、記事執筆時点でサポート情報はまだ英語のままです。日本語によるサポート情報が必要なら、サムライズムのサイトを参照するとよいでしょう。

4JetBrains – 株式会社サムライズム

公式ヘルプ

IDEそのものの使い方や機能の説明については、ヘルプを読むのが最も正確で分かりやすいでしょう。ヘルプに関しては、幸いなことに公式の日本語版もあります(日本語化の詳細はこちらを参照)

5IntelliJ IDEAをインストールする - 公式ヘルプ | IntelliJ IDEA

ヘルプでは、下図のようにヘッダのShortcuts:をクリックすると、IDEにプリセットしてあるキーマップを選択できます2。ここを各自が使っているキーマップに変更すれば、ヘルプ本文に記載されているショートカットキーもそのキーマップに準じます。

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本記事では、極力ヘルプへのリンクを貼り付けるので、この機会にヘルプに慣れ親しんでみるのもよいでしょう。

日本語ヘルプは便利なのですが、全て日本語になっているためメニューや設定項目の対比がいささか面倒です。そこで、こんなブックマークレットを作ってみました。

JetBrains⇔Pleiades

上のリンクをブックマークバーにドラッグすると、英語ヘルプと日本語ヘルプを簡単に切替えることができます(ソースは次のようになっています)

if(location.host == 'www.jetbrains.com') {
  location.href = location.href.replace('www.jetbrains.com', 'pleiades.io');
} else if(location.host == 'pleiades.io') {
  location.href = location.href.replace('pleiades.io', 'www.jetbrains.com');
}

日本語の書籍

数は少ないのですが日本語の書籍がいくつか出ています。せっかくの機会なので、筆者も関わった2冊を紹介させていただきます。

  • サムライズムの山本裕介@yusukeさんとの共著
  • 同社で定期的に行っているハンズオンの内容をまとめた入門書籍
  • 前半は入門者向けで、後半はUltimate Edition固有の専門的な内容

  • Android Studioと冠しているが、実体はIntelliJ IDEAのリファレンスガイド
  • おそらく世界で唯一のIdeaVIMの解説本

なお、書籍は情報がまとまっていて便利ですが、出版日から時間が経過するほど内容が古くなっていくのが難点です。ご自身が求めている情報が載っているか十分吟味して、購入するかどうか決めてください。

なぜなら、IntelliJ IDEAはバージョンアップのたびに、メニューや設定項目の名称や配置がこっそり変わることがままあるからです(ヘルプが「最も正確」と前述した理由のひとつ)

その他の情報源

よく読むとだいたいのことは書いてあるので、ヘルプや書籍をじっくり読むのは楽しいのですが、多くの人は「IDEの操作・機能を知りたい」のではなく「IDEを使って快適に開発したい」ので、IDEのことを調べるのに時間をかけたくないのが実状でしょう。特に「できないこと」はヘルプには書いていないので、調べるのは骨が折れます。

そのような人たちに最も適しているのは、詳しい人に聞くことです。例えば、Twitterで「IntelliJ」というキーワードを付けて知りたいことを気軽につぶやくといいでしょう。私を含めたIntelliJ IDEAユーザはお節介が好きなので、何かしら反応してくれます。

IntelliJ IDEAのインストール

このセクションからは、IntelliJ IDEAの具体的な特徴や機能を紹介していきます。まずはインストールです。インストール方法は何通りかありますが、Toolbox Appを使う方法をおすすめします。

7JetBrains Toolbox App:ツールを簡単に管理

Toolbox Appは、Windowsのタスクトレイや、Macのメニューバーに常駐するアプリケーションランチャーです。このツールを介して、IntelliJプラットフォームIDEのインストールやアップデートができるため、何かと便利です。

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下図のようなアプリケーションごとの設定画面(歯車アイコンのSettings)からは、バージョンを固定する・アップデートを安定版のみにする、などが設定できます。

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インストールした後の初回実行時に動くセットアップウィザードは、デフォルトを選択していけば特につまずくことはないでしょう。セットアップ後に気をつける点を、いくつか列挙しておきます。

開発環境の確認と設定

一般的に統合開発環境といえば「それさえインストールしておけば、後は何もいらない」というイメージがあるかもしれませんが、IntelliJ IDEAに関しては当てはまりません。

IntelliJプラットフォーム全般に言えるのですが、このIDEは対象となる開発言語のエコシステムに乗っかることを前提にしているところがあります。つまり、SDKやビルドツールなど、すでに(このIDEがなくても)開発できる環境があった上で、それらを統合できる環境を用意する役割を担っているといった感じです。

平たくいえば、インストールしただけではJavaの開発環境はできあがっていません。次の3つが別途必要です。

  • JDK(必須)
  • ビルドツール(必要に応じて)
  • バージョン管理システムのコマンド(必要に応じて)
実を言うと、最近のIntelliJ IDEAは、はじめからJDKが設定済みなのでインストール直後からすぐに開発ができます(2019.2.3のWindows版で確認済み、Mac版では未設定)

JDKの確認と設定

IntelliJ IDEAにJDKが設定済みかどうかは、以下の手順で確認できます。

  1. Welcome画面の右下のConfigureからStructure for New Projectsを選ぶ
  2. Project StructureダイアログのPlatform SettingsSDKsにJDKが設定されているかを確認する
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JDKが設定されていなければ、ヘルプの手順を参考に、各自で設定してください。

Windows版
SDKsにJava 11が登録済みのはずです。これはJBR(JetBrains Runtime)と呼ばれるOpenJDK互換のJDKで、IntelliJ IDEAの起動に使われます。不満がなければそのままJBRを使ってもよいのですが、気になる人はOracle JDKなりOpenJDKなりを設定した方がよいです。
Mac版
同じようにJBRがバンドルされているので、設定さえすれば利用できます。JBRは、IntelliJ IDEAアプリケーション内のContents/jbr/Contents/Homeにあります。
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「とりあえずJavaで開発してみたい」程度であれば、ここまで(JDKが設定済み)で準備完了です。JDKそのものが未インストールの場合は、JDKを入手するところから頑張ってください。このあたりが、初心者の最初の挫折ポイントになります。

Toolbox AppからインストールしたMac版IntelliJ IDEAは、<HOME>/Library/Application Support/JetBrains/Toolbox/apps/の下にあります。Macのファイルダイアログでライブラリフォルダへ移動する方法が分からない場合は、⇧ ⌘ Gを押してください。図のように移動したいフォルダを直接指定できます。

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ビルドツールやバージョン管理システムの準備

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