今なぜHTTPS化なのか?インターネットの信頼性のために、技術者が知っておきたいTLSの歴史と技術背景

WebサイトをHTTPS化する最も大きな理由は、インターネットの信頼性を維持することです。TLS技術の現状や、安全なHTTPS化に何が必要かを、ヤフー株式会社の大津繁樹氏が解説します。

今なぜHTTPS化なのか?インターネットの信頼性のために、技術者が知っておきたいTLSの歴史と技術背景

「SEO対策のためには、WebサイトをHTTPS化しないといけない。」 —— そう聞かされて対応を迫られている技術者の方も多いのではないでしょうか?

確かに、Googleは「HTTPSページが優先的にインデックスに登録されるようになります」と表明し、HTTPS化されたWebサイトが同社の検索結果で有利になると示唆しています。はたして、WebサイトのHTTPS化が必要な理由は、SEO対策だけなのでしょうか? そして、それはGoogleという一社だけの意向で推奨されていることなのでしょうか?

こうした疑問に答えるべく、この記事ではHTTPSおよびTLSについて歴史的経緯と技術的な背景を説明します。 さらに、そうした背景を踏まえて、Webサーバを安全にHTTPS化するための技術的な要件を解説していきます。 最後に、HTTPS化したあとを見据えてIETFで仕様策定が進められている新しいプロトコル、TLS1.3とQUICの概要について説明します。

※本稿では、現時点で安全と判断できるTLSの技術要件についてまとめています。実際にどういう設定でTLSを使うべきかは、最終的に各社のセキュリティポリシーや運用状況に応じて、その時点での安全性評価の報告などを参考に、各自の判断のもとで決定してください。
【変更履歴 2018年2月15日】当初の記事タイトルは「いまなぜHTTPS化なのか? 技術者が知っておきたいSEOよりずっと大切なこと ― TLSの歴史と技術背景」でしたが、現行のものに変更しました。現在GoogleではWebサイトのHTTPS対応と検索結果の関係を強調しておらず、本記事の趣旨の一つにも本来は独立した問題であるSEOとHTTPS化を関連付けるという根強い誤解を解くことがありますが、当初のタイトルではかえってSEOとHTTPSを関連付けて読まれるおそれがあり、また同様の指摘もいただいたことから変更いたしました。

HTTPSのおさらい

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