時代をリードするエンジニア19人が推薦! 若手エンジニアに薦めたい「座右の書」

さまざまな領域で活躍する19名の著名エンジニアに、「自分のキャリアを支えてくれた一冊」を聞きました。

時代をリードするエンジニア19人が推薦! 若手エンジニアに薦めたい「座右の書」

エンジニアがスキルを磨きたいとき。キャリアプランに迷ったとき。モチベーションを高めたいとき。いつも助けになってくれるもの。それは、本。

優秀なエンジニアを目指すのであれば、良質な多くのインプットが不可欠です。それでは、各領域の著名なエンジニアにとって、良質なインプットとは? 本稿では、19名の著名エンジニアに、自身のキャリアを支えてくれた“この一冊”というべき名著を伺いました。

各領域で活躍するエンジニアたちは、数多ある書籍からどんな一冊を選び、そこから何を学んできたのでしょうか? 自身のスキルやマインドを磨くために、絶対に読んでおくべき珠玉の書籍を、ご本人と書籍の関わりエピソードとともに紹介してもらいました。

※人名の50音順に掲載。回答者は敬称略とする。

池澤あやかが推薦!『Prototyping Lab』

著:小林茂 刊:オライリージャパン

ソフトウェアエンジニアだけど、ハードウェアにも挑戦してみたい。そう考えている方も多いのではないでしょうか。そんな方にぴったりの一冊が『Prototyping Lab』です。この本では、Arduinoを使ったハードウェアプロトタイプの作り方を体系的に学ぶことができます。

「距離の計測」「動きの検出」「LEDのコントロール」など、目的別に詳しい解説が載っています。ですから、たとえば「人が近づいたら中から人形が飛び出すびっくり箱を作りたい」というアイデアしかないような状態でも、どうすれば実現できるのかを考えるのに役に立ちます。

私は大学の研究室に所属していたころ、この本と出会いました。まだまだ電子回路設計もプログラミングもおぼつかず、熱意だけがあった当時、プロトタイプを作るときにこの本に何度も助けられました。初心者にとっては大変分かりやすいハードウェア入門書です!

池澤あやか(いけざわ・あやか)[twitter:@ikeay]
タレント/エンジニア。1991年7月28日 東京都出身。2006年に第6回東宝シンデレラオーディションで審査員特別賞を受賞し、芸能活動を開始。様々なドラマ、映画、バラエティ、情報番組に出演。最近はタレントとして、Abema TV「Abema Prime」への出演やさまざまなメディア媒体への寄稿などを行う一方で、フリーランスのエンジニアとして、Webサイトの制作やプロトタイプアプリケーションの開発にも携わっている。

サイバーエージェント 板敷康洋が推薦!『リファクタリング』

著:Martin Fowler 訳:児玉公信・友野晶夫・平澤 章・梅澤真史 刊:オーム社

10年以上前のプロジェクトでご一緒していた先輩からおすすめされた一冊です。コードの可読性と保守性を向上させることで属人化を防ぎ、要求変化や機能追加をしやすくするためのリファクタリングのテクニックが多数紹介されています。

当時駆け出しのプログラマだった自分にとって、リファクタリングのスキルや考え方のプロセスを知ることは非常に大きな学びがありました。

この本では、問題の発見から改善状態の提示、そして実際の改善まで順を追って詳細に解説されています。こうしたプロセスはリファクタリングのみならず、一般的な学習や問題解決にも応用できることに、本書を繰り返し読む過程で気づきました。

ものごとを学ぶ際には、やみくもに進めるのではなく、まずは理想の状態とダメな状態の両方を知ることが重要。そうすることで判断の軸ができ、学びのスピードが加速すると感じています。

どちらかというとプログラミング初心者向けの書籍ですが、上記のようにさまざまな示唆に富んだ書籍です。

板敷康洋(いたしき・やすひろ)[twitter:@yasitashiki]
株式会社サイバーエージェント プロジェクトマネージャー。2013年サイバーエージェント入社。アバターコミュニティサービス「アメーバピグ」のチーフエンジニアを担当した後、技術本部のマネージャーに。新感覚SNS「755」や定額音楽配信アプリ「AWA」の負荷対策プロジェクトを経て、技術組織戦略グループのエンジニア兼マネージャーに。2017年9月より現職。

リーバンス 今井彩碧(あやみん)が推薦!『アップルのデザイン』

編:日経デザイン 刊:日経BP社

「ジョブズは“究極”をどう生み出したのか」という副題からも分かる通り、本書はApple社とApple創業者であるスティーブ・ジョブズの大胆かつ繊細な「究極」のこだわりに触れることができる一冊です。

彼らは、Macのデザインや店舗の設計はもちろん、分解しなければ分からないiPhoneの内部構造、通常であれば開封すればゴミ箱行きとなる商品のパッケージに至るまで繊細なこだわりを見せています。

こうしたジョブズ率いるAppleが生み出した異常なほどの「究極」のこだわりを、カラー写真満載で読者に伝えています。

私がこの本に出会ったのは中学3年生のとき。ちょうどプログラミングを始めた頃で、それから3年以上、この本に支えられてきました。本書を読み進めながらAppleのクリエイティビティに触れることで、初心に立ち返り、改めて自身のものづくりへの熱意やこだわりを認識できます。読んだ後はいつも、止まっていた創作の手が進んだり、新しい事業を思いついたりと、私にとって本書は「魔法の本」です。

何かものづくりをしている人には、ぜひ手に取っていただきたい一冊。きっと、ジョブズ率いるAppleのクリエイティビティに読者の創作意欲が掻き立てられるはずです。

今井彩碧(いまい・あやみ)[twitter:@ayami_ii]
株式会社リーバンス JK専務。中3でプログラミングに出会い、高1でエンジニアとしてベンチャー企業の新規プロダクト開発に携わる。その後、エンジニア、デザイナーまたプロデューサーとして、約10社に携わる。前職ではIT系ベンチャー企業の最高執行責任者(COO)に就任し、新規事業開発を行う。現在は高校に通う傍ら、教育系ベンチャーである株式会社リーバンスにて専務取締役・教育事業部代表・起業家育成高校運営代表を務める。夢は「教育から世界を変えること」。

マネーフォワード 卜部昌平が推薦!『リファクタリング』

著:Martin Fowler 訳:児玉公信・友野晶夫・平澤 章・梅澤真史 刊:オーム社

この記事をご覧の皆さんは、Webエンジニアを志していたり、すでにWebエンジニアになっている方でしょう。また多くの場合、自分で事業を起こしているわけではなく、既存のWebサービスに手を入れていることかと思います。

自分も皆さんと同じようなシチュエーションで、すでにある膨大なプログラム群のどこからどう手をつければいいか分からず、五里霧中の気分を経験したことがあります。

そんなときに力強くサポートしてくれたのが本書(の旧版)です。サンプルコードは刊行当時のJavaなのでやや古いですが、普遍的な内容でありさほど古さが問題にならないのと、新装版では今っぽい記述に直したものも追記*1されていて、これも参考になるかと思います。

困っている事柄に、経験と勘ではなく、知識と技術で挑む。この基本的な姿勢を本書は教えてくれました。業務でプログラミングを始めたばかりの頃、いきなり役に立ったという点で、とても印象に残っています。

卜部昌平(うらべ・しょうへい)[twitter:@shyouhei]
株式会社マネーフォワード フルタイムRubyコミッター。プログラミング言語Rubyコミッター、日本Rubyの会監事。大学院在学中の2008年ごろからRuby開発に携わる。大学院修了後は趣味としてRuby開発を続けるかたわらプログラマーとして数社に勤務。その後2015年よりマネーフォワードにてフルタイムでRuby開発に携わり現職。監訳にオライリー『プログラミング言語Ruby』。

及川卓也が推薦!『コンピュータ・アーキテクチャ』

著:ジョン・L・ ヘネシー デイビッド・A・パターソン

監訳:鈴木貢・中條拓伯・天野英晴 訳:吉瀬謙二・佐藤寿倫 刊:翔泳社

※上記のリンクは改訂版のものです。

1990年代初頭、私は当時勤めていた会社から、米国マイクロソフトに出向することになりました。まだ私が20代のころの話です。

その頃のマイクロソフトはWindows 3.0のヒットにより、世間の注目を浴びる存在となっていました。しかし、エンタープライズに進出するには、当時のWindowsでは機能も安定性も不足していたため、Windows NTという現在のWindowsの源流となったOSの開発がスタートしました。このWindows NTの開発プロジェクトに参加することが私の出向の理由でした。

業界からも注目を集めるOSの開発に参加できるのはとても光栄でしたが、大学で正式にコンピューター科学を学んだわけでもなく、社会人になってからも(ユーザーモードで動作する)アプリケーションの開発しかしていなかったため、基礎的な知識が足りません。

渡米までに少し期間があったので、仕事の傍らコンピューター・アーキテクチャの勉強をしました。その時に読んだ書籍の中の一冊が、このヘネシー&パターソン『コンピュータ・アーキテクチャ 設計・実現・評価の定量的アプローチ』*2。通称「ヘネパタ本」です。

700以上のページ数と4cm以上の厚さという分量だけでも圧倒されますが、難易度もかなり高い本です。分からないところは他の書籍にあたるなどして読み終えた頃には、コンピューター・アーキテクチャの基本は理解できるようになっていました。

本書以外に、当時勤めていた会社、ディジタル・イクイップメント・コーポレーション(DEC)の主力マシンであるVAXについて解説された『VAX/VMS Internals and Data Structures』やWindows NTの動作を解説した『Inside Windows NT』なども読みました。『Inside Windows NT』は、まだ出版前のものをマイクロソフト経由で入手したのですが、出荷前のOSのアーキテクチャ解説本が出るということからも当時の注目ぶりが分かるでしょう。

現在のITは、当時からは比べ物にならないくらい進化しており、コンピューター・アーキテクチャの重要性はさらに増しています。たとえば、昨今注目を集める機械学習では、GPUやFPGAも使われています。ビルディングブロックとして用意されているものを組み合わせるだけでも最新のソフトウェア開発は可能ですが、仕組みの部分を知ることで、さらに高度な開発が可能となることでしょう。

かなり読み応えのある書籍ですが、プロフェッショナルとしての知識を広く深くするために、一読をおすすめします。

及川卓也(おいかわ・たくや)[twitter:@takoratta]
テクノロジスト。早稲田大学理工学部を卒業後、日本DECに就職。営業サポート、ソフトウエア開発、研究開発に従事し、1997年からはマイクロソフトでWindows製品の開発に携わる。2006年以降は、GoogleにてWeb検索のプロダクトマネジメントやChromeのエンジニアリングマネジメントなどを行う。その後、スタートアップを経て、独立。現在、企業へ技術戦略、製品戦略、組織づくりのアドバイスを行う。

はてな 大西康裕が推薦!『未来の二つの顔』

著:ジェイムズ・P・ホーガン 訳:山高昭 刊:東京創元社

高校の図書室で、本著の筆者であるジェイムズ・P・ホーガンに出会ったことは、その後の人生に大きな影響を与えました。『巨人たちの星』シリーズも印象深いですが、「人工知能と人類との対決」というSFの古来のテーマかつ現代的なテーマでもある本書を多感な10代のころに読んだことは、後に職業プログラマとなるきっかけになったと思います。

元来、プログラマにとって一番の愉悦(ゆえつ)は「万能感」であると感じています。「世界をあるがままに動かす」は無理でも、目の前の端末やスマートフォンやブラウザを自由に操れるという錯覚を覚えることができる。そしてその結果、多くの人の人生に影響を与えられる。そんなプログラマに憧れていました。

そうした意味でも、プログラマの(人類の)万能感にコンピュータが敵対するという本書は、21世紀に読み返しても色あせないSF小説の金字塔であり、高校生の自分がそんな万能感に憧れるきっかけとなった思い出の一冊です。

大西康裕(おおにし・やすひろ)[twitter:@yasuhiro_onishi]
株式会社はてな 執行役員 サービス・ビジネス開発本部長(元エンジニア)。2001年に創業メンバーの1人として有限会社はてな(当時)に入社。主にエンジニアリングを担当し、チーフエンジニアとして全サービスの開発や技術部の指導・育成に携わる。「はてなブログ」の立ち上げや事業化を指揮し、2014年8月より執行役員 サービス開発本部長を経て、2016年8月より現職。

フューチャースタンダード 金田卓士が推薦!『エッセンシャル思考』

著:グレッグ・マキューン 訳: 高橋璃子 刊:かんき出版

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